特定非営利活動法人バイオミメティクス推進協議会

設立趣意書

 生物は進化と適応の過程において、「人間の技術」とは異にする「生物の技術」とも言うべき技術体系を構築し機能を発現している。このような機能発現機構は、工学的に設計・製造したものとは異なる規範(パラダイム)に基づいている。このような生物規範工学とよべるバイオミメティックスの産業利用に関しては欧米で積極的に行われていが、日本では、バイオミメティックス技術の体系化がなされていないために、多くの場合には試行錯誤で研究開発が行われている。このような背景の中、最近になってバイオミメティックスに関する日本国内で動きが活発化している。公益社団法人高分子学会の研究部会「バイオミメティックス研究会」が2012年に発足し、また、文部科学省科学研究費新学術領域として「生物規範工学」が2012年度に採択され研究がスタートしている。一方、経済産業省等から高分子学会が委託を受け、ISO(国際標準化機構)による標準化の活動が、TC266TC: Technical Committee)としてスタートし、2016年には3つの国際規格が発行されている。

 このような状況で、バイオミメティックスの研究の著しく進展するには、生物学者と工学者の融合、そして、産業応用面では企業研究者との融合が期待されると共に、産業展開を積極的に進めることが日本企業の国際競争力を生み出すと考えている。現在、学際的な研究領域の知識や技術を産業界への展開を推進する組織がない状況であり、バイオミメティクスの活用を推進することを目的とした団体としてバイオミメティクス推進協議会を設立する。

 バイオミメティクス推進協議会では、バイオミメティックスの基盤となる情報プラットホームの整備やバイオミメティクスに関する技術の普及を行い、さらに、バイオミメティクスの発想支援を行うことにより、バイオミメティクスの産業展開を支援する。また、バイオミメティクスの基盤となる、生物および研究者ネットワークを構築すると共に、一般社会への啓蒙活動を進める。

 このような活動は、日本の学術領域の進展および産業競争力の向上に資するものであり、現在、バイオミメティクスに関する学際領域を産業展開する連携体制がない問題を解決するためにバイオミメティクス推進に関する活動を行い、公益の増進に寄与していきたい。

 平成29年2月16日